許認可申請

建設業許可の5つの許可要件について【徹底解説】!

2023年3月4日

建設業許可を受けるためには、5つの要件を満たす必要があります。

今回は、建設業許可の取得に必要な5つの要件について詳しく解説していきます。

建設業許可の5つの要件

  1. 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者であること
  2. 営業所ごとに専任技術者を配置すること
  3. 誠実性を有すること
  4. 財産的基礎・金銭的信用を有すること
  5. 欠格要件に該当しないこと

以上、5つの要件を満たす必要があります。

次は、この5つの要件について、個別に解説します

1.建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者

建設業法第7条「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。」

第一の要件について、建設業法第7条に「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。」が必要とされています。

この国土交通省令で定める基準に適合するもの者が、『常勤役員等』+『社会保険加入事業者』です。常勤役員等に関しては、法改正前は経営業務管理責任者(経管(けいかん))と呼ばれていたので、お客様にとってはこちらの呼び方が馴染み深いかと思います。

次は、常勤役員等(経管)の要件について確認していきます。

常勤役員等について

常勤役員等の選定に関しては、大きく分けて2つの方法があります。

  • 常勤役員等の一人の業務経験から常勤役員等を選任できる場合
  • 常勤役員等+補助者のチーム体制によって、要件に該当する場合

以下で、それぞれの具体的要件を確認します

常勤役員等のうち一人が次のどれかに該当する場合(建設業法施行規則第7条1号イ)

建設業法施行規則第7条1号イ「常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。」

建設業の役員として、5年以上の経験を有する者

法人の役員、個人事業主又は双方の合算で5年以上の経験が必要です。

※施行令第3条で規定する使用人はここに該当します。ex)支店長、営業所長等

建設業の役員に準じる地位にある者(執行役員等)として、5年以上の経験を有する者(取締役会又は代表取締役から具体的な権限移譲を受けた者)

執行役員等として、取締役会又は代表取締役から具体的な権限移譲を受けた者で + 権限移譲を受けたエビデンスが必要。ex)取締役会の議事録等

建設業の役員に準じる地位で役員を補助する業務に従事した者として、6年以上の経験を有する者  

小規模の建設業者に対する救済規定と考えて下さい。ex)一人親方で建設業を営んでいた者を支えていた専従者の家族               

常勤役員等+補助者のチーム体制で次のどちらかに該当する場合(建設業法施行規則第7条1号ロ)

建設業法施行規則第7条1号ロ「常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であつて、かつ、財務管理・労務管理・業務運営の業務経験(5年以上)を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。」

建設業に関して、2年以上の役員経験 + 役員に次ぐ地位で、財務管理・労務管理・業務運営のいずれかで5年以上の経験

建設業で2年以上の役員経験 + 建設業以外で3年以上役員経験 = トータル5年以上の役員経験

上記のどちらかに該当する役員に、下記の補佐者を置く必要があります。

財務管理・労務管理・業務運営に関して5年以上の業務経験を有する者(補佐者)

  • 財務管理の業務経験:資金調達、資金繰り、下請け業者への代金支払い等の業務 ex)経理部長等
  • 労務管理の業務経験:社員の勤怠管理、社会保険の手続き等 ex)人事部長等
  • 業務運営の業務経験:経営方針、運営方針、事業計画に関する業務 ex)総務部長等 

※補佐者に関しては、業務経験の期間を証明する際に経験期間の重複が認められるため、一人で補佐者を務めることも可能です。

※補佐者としての経験は、許可を受けようとする会社での経験のみが認められます。

上記のどちらかに該当する役員等+財務管理・労務管理・業務運営に関して5年以上の業務経験を有する者が補佐者=要件を満たす

※更に、上記の常勤役員等の要件に、社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険)に関して適応事業所の届出をしていることで、建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者であると認められます。

2.営業所ごとに専任技術者を配置すること

営業所ごとに、許可を取得する建設業の種類に応じて専任技術者を配置する必要があります。

※専任技術者の要件は、一般建設業と特定建設業又は建設業の種類で異なります

まずは、一般専任技術者の要件について確認していきます。

一般建設業の専任技術者の要件

建設業法第7条2号「その営業所ごとに、次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。」

一般建設業の専任技術者は、許可を受けようとする建設業に関して以下の4つの要件のいずれかに該当しなければなりません。

10年以上の実務経験 

※電気工事、消防施設工事に関しては、電気工事士免状、消防設備士免状等を受けている者でなければなりません。

指定学科の卒業または + 実務経験

高校・専門学校の指定学科を卒業:卒業後5年以上の実務経験

専門学校(専門士・高度専門士)、大学の指定学科を卒業:卒業後3年以上の実務経験

※指定学科については、こちらで確認して下さい。また、許可申請の際は申請先に事前相談する事でスムーズに申請をすることができます。

技術検定試験1次試験合格+実務経験

2級1次試験合格者:合格後5年以上の実務経

1級1次試験合格者:合格後3年以上の実務経験

注意:本要件は、指定建設業と電気通信工事業においては適用されません

国家資格者等

専任技術者になることができる国家資格は、建設業の種類ごとで異なるためこちらで確認して下さい。

資格の種類に応じて実務経験を必要とする場合があるので、よく確認して下さい。

※特定建設業で専任技術者になり得る資格は、一般建設業でも専任技術者になることができます。

特定建設業の専任技術者の要件

建設業法15条2号「その営業所ごとに次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。ただし、施工技術(設計図書に従つて建設工事を適正に実施するために必要な専門の知識及びその応用能力をいう。以下同じ。)の総合性、施工技術の普及状況その他の事情を考慮して政令で定める建設業(以下「指定建設業」という。)の許可を受けようとする者にあつては、その営業所ごとに置くべき専任の者は、イに該当する者又はハの規定により国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者でなければならない。」

特定建設業の専任技術者には、より厳しい要件が定められているので確認していきましょう。

国土交通大臣が定めた試験の合格者、国土交通大臣が定めた免許を受けた者

専任技術者になることができる国家資格は、建設業の種類ごとで異なるためこちらで確認して下さい。

国土交通大臣認定者

上記の国家資格者と下記の指導監督的実務経験者と同等以上と認定した者が対象となります。

指定建設業の専任技術者に関しては、上記の国家資格者か国土交通大臣認定でなければなりません。

※指定建設業とは、土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種を指します。

一般建設業の専任技術者要件に該当する者であって、許可を受けようとする建設業に関して、元請けとして4,500万円以上(平成6年12月28日以前は3,000万円以上、昭和59年10月1日以前は1,500万円以上)の工事について2年以上の指導監督的な実務経験を有する者

指導監督的な実務経験とは、現場監督や現場主任等の立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験を指します。

専任技術者のまとめ

専任技術者の要件は、一般建設業か特定建設業で異なり、特定建設業ではより厳格な基準が設けられています。

指定学科、国家資格に関しては国土交通省が示している基準をよく確認し、必要があれば取得先に事前相談をしましょう。

3.誠実性を有していること

建設業法第7条3号「法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。」

法人の場合は、役員等、政令で定める使用人(令3条使用人)が、個人である場合は、本人、政令で定める使用人(令3条使用人)が以下に該当する行為をする恐れが明らかな者は、誠実性が認められません。

不正な行為とは、請負契約の締結や履行の際に、詐欺・脅迫・横領等の法律に違反する行為のこと指します。

不誠実な行為とは、工事内容・工期等について請負契約に違反する行為のことを指します。

4.財産的基礎・金銭的信用

財産的基礎・金銭的信用に関しては、専任技術者と同様で一般建設業と特定建設業とで要件が異なるため注意が必要です。

一般建設業の財産的基礎・金銭的信用に関する要件

建設業法第7条4号「請負契約(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。」

一般建設業で財産的基礎・金銭的信用の要件を満たすためには、以下3つのいずれかに該当する必要があります。

自己資本の額が500万円以上を有する者

法人の場合、貸借対照表の純資産総額が500万円以上であること

個人の場合は、期首資本金+個人事業主借勘定+事業主利益ー個人事業主貸+負債性の引当金・準備金=500万円以上であること

※要件の判断は、既存企業においては直前の決算期、新規企業で決算期が未到来の場合は資本金の額によって行います。

500万円以上の資金調達能力を有する者

金融機関の融資証明書や預金残高証明書で証明します。

直前5年間許可を受けて継続して営業をした実績があって、現在許可を有している者

建設業許可の更新をする場合は、これに該当し、証明書類は必要ありません。

特定建設業の財産的基礎・金銭的信用に関する要件

特定建設業の場合は、以下の全てに該当しなければなりません。

欠損の額が資本金の20%を超えれいないこと

欠損額≒赤字と捉えて問題ありません。

法人の場合は、貸借対照表の繰越利益剰余金(負の場合)>資本剰余金+任意積立金

個人の場合は、事業主損失>事業主借勘定ー事業主貸勘定+負債性の引当金・準備金

流動比率が75%以上であること

流動資産÷流動負債×100=75%以上であること。

資本金が2,000万円以上+自己資金が4,000万円以上であること

自己資本にについて

法人の場合は、自己資金=貸借対照表の純資産合計額

個人の場合は、自己資金=期首資本金+事業主借勘定+事業主利益ー事業主貸勘定+負債性の引当金・準備金

5.欠格要件

建設業法第8条「国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。」

以下の要件に一つでも該当すると、許可を受ける事は出来ません。

破産手続きの決定を受けて復権を得ない者

不正の手段により許可を受けたこと等により、その許可を取り消され、その取消の日から5年を経過をしない者

上記に該当するとして、聴聞の通知を受け取った後、許可の取消しを避けるために廃業の届出をした者で、届出の日から5年を経過しない者

上記の届出をした事業者で、その届出の日の前60日以内に、役員等、令3条使用人(支店長等)であった者で、その届出の日から5年を経過しない者

建設工事を適正に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは危害を及ぼす恐れが大であるとき、請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等にとり、営業停止を命じられ、その停止期間が経過しない者

禁錮以上の刑で、その刑の執行が終わった日、その刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者

建設業法、その他の建設工事に関する法令のうち政令で定めるも、暴力団による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反して、罰金刑、刑の執行が終わり、刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者

暴力団員の者、暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

精神機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断、意思疎通を適切に行うことができない者

暴力団員等が、その事業活動を支配している者

まとめ

今回は、建設業許可の5つの要件について解説させて頂きました。要件は以下の5つです。

  1. 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者であること
  2. 営業所ごとに専任技術者を配置すること
  3. 誠実性を有すること
  4. 財産的基礎・金銭的信用を有すること
  5. 欠格要件に該当しないこと

以上の要件を全て満たす事が、建設業許可を取得するためには必要になります。そして、この要件を満たす事を証明する資料を集めて許可を担当する都道府県や地方整備局に提出します。

提出する書類は、許可の種類や区分で異なるため注意が必要です。提出書類に関しの解説は、後日にさせて頂きます。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

当ブログでは、今回の投稿の様に出来るだけ短い文章で内容をお伝えすることを目標にしています。ぜひ、他の投稿もご覧ください!

長野県行政書士会所属

行政書士あさくら事務所 代表行政書士 朝倉祐作

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