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建設業の技術者について【徹底解説!】

建設業において○○技術者という名称がいくつか使われています。その○○技術者については、建設業法上で明確に定められています。

今回の投稿では、この技術者について解説させていただきまので、会社や建設現場で使っている表現とリンクしているか確認してみて下さい。

それではいきましょう!

建設業法上の技術者について

建設業は、建設業法という法律を基に様々な法令やガイドライン等で定められています。今回のテーマである技術者についても、これらの法令で明確に定められています。

この技術者について間違った解釈をしてしまっていると、知らないうちに法令違反を犯しているという事態に成りかねないので注意が必要です。

今回の投稿で、技術者の定義や要件等を確認していただき、業務の運用に役立てていただけたら嬉しいです。

建設業法上の技術者は3つに分類

建設業法上で技術者と定義されているのは次の3つです。

  1. 専任技術者
  2. 主任技術者
  3. 監理技術者

どれもよく耳にする名称ではないでしょうか。この技術者について一つ一つ詳しく見ていきましょう。

専任技術者

まずは、専任技術者について確認していきます。

専任技術者は、各営業所に設置しなければならない技術者です。原則は、現場で工事の指示や直接工事を施工する技術者ではありません。

ポイント:専任技術者は、営業所に設置される技術者である

専任技術者を営業所に設置する目的は、建設工事についての専門知識を有する技術者の技術指導のもとで、建設業の営業が行われる体制を構築することが求められるためです。これにより、以下の内容を担保することができます。

1.建設工事における適正な請負契約が締結されるために、技術的な観点から契約内容の確認を行うことができる。

ex)現場の進捗状況や施工中の工事内容等を踏まえて、営業担当者に指示ができる体制をとることができる。→ 現場と営業とのミスマッチを未然に防ぐ事ができる。

2.請負契約の内容に沿った工事の施工が確保されるよう、現場の技術者のバックアップやサポートを行うことができる。

以上の理由から、原則、専任技術者は現場ではなく、営業所に設置する必要があります。

専任技術者が営業所の「専任」と認められるにためには

専任技術者が営業所ににおいて「専任」と認められるためには、原則、その営業所に常勤する者である必要があります。

※この常勤については、テレワークによる業務が認められています。

専任と認められない場合

以下の4つは専任性が認められない場合です

1.住所、テレワークを行う場所が、専任とされた営業所から著しく遠距離であり常識的に通勤が不可能な場合

2.他の営業所において専任を要する者である場合 例)他の営業所の専任技術者、他の建設業者の専任技術者等

3.他の法令により特定の事務所等において専任を要する者である場合 例)建築事務所の建築士、不動産業者の専任の宅地建物取引士等

4.他の営業について専任に近い状態である者 例)他に個人事業を営んでいる者、他の法人の常勤の役員等

以上に該当したものは専任性が認められないため、専任技術者として認められないことになります。

ポイント:原則、専任技術者は常勤(テレワークを含む)の職員である必要がある

注意点:専任技術者のテレワークは認められるが、営業所との距離については注意する必要があります。該当する場合は、事前に建設業許可の申請先に確認する事が有効な手段になるため相談してみて下さい。

各営業所には、営業できる業種に応じて常勤の専任技術者が必要になります。そのため、複数の業種を取扱う営業においては専任技術者は1人とは限らず複数名配置しなければならない場合もあります。

また、専任技術者の異動がある際は、各営業所の業種と専任技術者がどの業種において要件を充たしているのかしっかり把握している必要があります。故意ではなくても、専任技術者の不在で建設業法違反に問われてしまいます。細心の注意が必要です。

専任技術者の「専任」についての取扱いについて

原則、専任技術者は営業所に常勤する必要があると解説しました。しかし、専任技術者の「専任」については例外の規定もあります。原則があって、例外がある。法律は全てこのパターンになっています。

次は、例外である専任技術者が営業所に常勤しなくても良い場合についての解説になります。

専任技術者が営業所に専任しなくて良い場合

次の全ての要件に該当する場合は、専任技術者が現場にでることが認められます。

1.専任技術者が常勤する営業所で契約が締結された建設工事であること

2.工事現場で仕事をしながら、営業所の仕事にも対応できる程度に工事現場と営業所が近くにあって、営業所と常時連絡が取れる体制であること

3.所属建設業者に一定期間雇用されている者(出向社員を含む)であること

以上の要件全てに該当する専任技術者は、例外的に現場の主任技術者又は監理技術者を兼ねることができます。

主任技術者

次は、主任技術者について解説していきます。

主任技術者は、現場に配置される技術者です。建設業許可を取得した建設業者は、建設工事を施工する場合には、工事現場に工事の施工の技術上の管理者として主任技術者を配置することが義務付けられています。これは、元請け、下請けに関わらず工事を施工する際の規定になります。

ただし、例外的に次の工事においては下請業者は主任技術者を配置する必要はありません。

チェック特定専門工事(型枠工事、鉄筋工事)における主任技術者の設置の例外

特定専門工事(型枠工事、鉄筋工事)で以下に該当する下請業者は、主任技術者を設置せずに、工事の施工をすることができます。

1.元請けと下請業者の間で合意がある場合あって、その内容を書面で記している

2.下請代金の合計が4,000万円未満である

3.元請けが注文者に書面で承諾を得ている

4.元請けが配置する主任技術者が、その工事と同種の工事で1年以上指導監督的な実務経験を有しており、その現場に専任で配置される場合

主任技術者の専任性について

公共性のある施設、多数のものが利用する工作物に関する重要な建設工事においては、請負代金の合計が4,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上の工事の場合は、現場に配置する主任技術者は専任でなければなりません。上記の工事の例外は、個人住宅になります。よって、個人住宅以外の上記の金額以上の工事現場では主任技術者を専任で配置しなければなりません。

注意点:専任が求められる工事現場の兼任は業法違反になり、営業停止等のペナルティが科される場合があります

※「専任」とは、他の現場において主任技術者等との兼任を認めないことで、常時継続的にその現場に配置されている状態のことです。

主任技術者の要件

主任技術者になるための要件は、一般建設業の専任技術者の要件と同じです。

監理技術者

最後は、監理技術者についての解説になります。先程、全ての建設現場において主任技術者が配置されると解説させて頂きました。監理技術者は元請けが規模の大きい工事や複雑な工事の場合に、主任技術者に置き換えて配置されます。

そこで、どんな工事を施工する場合に主任技術者に変えて監理技術者が必要になるのか見ていきましょう。

監理技術者が必要な場合

元請けが発注者から直接請負った建設工事において、下請業者と締結する請負代金の合計金額が4.500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上である場合に、元請けは主任技術者に変えて監理技術者を配置しなければなりません。そして、この監理技術者は、特定建設業の専任技術者の要件を充たす者しか就任することができません。また、監理技術者は、要件を充たすことに加え、監理技術者講習を受け、監理技術者証が交付を受けなくてはなりません。

指定建設業(土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園)においては、特定建設業の専任技術者の要件と同様で資格者か国土交通大臣認定者でなければなりません。

監理技術者の専任性について

監理技術者の現場における専任性についても主任技術者と同様の規定が定められています。

公共性のある施設、多数のものが利用する工作物に関する重要な建設工事においては、請負代金の合計が4,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上の場合は、現場に配置する監理技術者は専任でなければなりません。上記の工事以外は、個人住宅になります。よって、個人住宅以外の上記金額の工事は監理技術者はその現場に専任していなければならない事になります。

※注文者が材料を提供する場合は、その金額を含んだ合計額になります。

ポイント:ここでいう専任は、他の工事現場に係る職務を兼務しない事を意味しているので、常駐を義務付けるものではありません。

専任性が求められていても認められている行為(国土交通省通達より)

・研修会、講習会、試験等への参加

・休暇の取得

・その他合理的な理由がある場合

以上の行為は、適正な施工を確保するとともに元請け・上位下請の了解を得ている場合は、認められています。

監理技術者の専任性の例外規定(要件の緩和)

監理技術者が必要な工事は、下請契約の総額が4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上になる場合であって、主任技術又は監理技術者の専任が必要な工事は個人住宅以外の4,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上になる場合です。従って、原則、監理技術者の配置が必要な工事現場においては、専任の監理技術者が配置されることになります。

令和2年10月から、監理技術者の専任要件が緩和されました。これによって、例外的に監理技術者は専任が求められる工事現場においても、2つの工事現場を兼務できる様になりました。

監理技術者が2つの工事現場を兼務する場合は、監理技術者を補佐する者(技士補)を専任で配置する必要があります。

この技士補になるための要件は、主任技術になるための要件を充たしている者であって、施工管理技士試験の一次試験の合格者であることです。

監理技術者の雇用条件について

建設工事の適正な施工を確保するため、監理技術者は所属建設業者に直接雇用され、一定の期間その期間に在籍している必要があります。

まとめ

今回は、建設業法が定めるの技術者の定義について解説させて頂きました。今回のまとめです。

・技術者は、専任技術者主任技術者監理技術者の3つに分類される

・専任技術者は、営業所に配置される技術者で、適正な請負契約の締結や現場のサポート等を行う

・主任技術者は、建設工事の施工に際し配置が義務付けれている技術者

・監理技術者は、下請契約の金額が一定(4.500万円(建築一式工事の場合は7,000万円))以上と規模が大きい建設工事の場合に設置される技術者

・主任技術者、監理技術者は、請負代金の合計が4,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上の工事の場合は、専任でなければならない

以上になります。3つの技術者の定義についてお分かり頂けたでしょうか?技術者の配置については、しっかり理解して頂き適正な配置を行って下さい。また、分からないことがありましたらお気軽にお問合せ下さい!最後までご覧いただきありがとうございました。

長野県行政書士会諏訪支部所属

行政書士あさくら事務所 代表行政書士 朝倉祐作

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